SPACECOOL代表・末光真大、国連環境計画(UNEP)Cool Coalitionの国際パネルに登壇 ― HFCの代替だけでなく、冷房需要そのものを減らす「ゼロエネルギー冷却」の社会実装を世界へ ―
宇宙空間に熱を逃がし、ゼロエネルギーで冷却する放射冷却素材を開発・販売するSPACECOOL株式会社(本社:東京都港区、以下「当社」)の代表取締役CEO兼CTOの末光真大が、2026年7月14日、タイ・バンコクの国連会議センターで開催された国際パネルディスカッション「Reducing Energy Demand and HFC Dependence Through Next-Generation Technologies(次世代技術によるエネルギー需要とHFC依存の削減)」に、パネリストとして登壇しました。
本イベントは、国連環境計画(UNEP)のCool Coalition、各国政府、冷却分野の主要企業が共同で主催し、2026年7月13日から17日まで同会場で開催された、モントリオール議定書締約国による第48回公開作業部会(OEWG48)の開催期間中に実施されたサイドイベントです。
また、Cool Coalitionは、政府、企業、都市、金融機関など300以上の組織が参加し、持続可能な冷却と極端な暑さへの包括的な対応を推進する国際プラットフォームです。
冷媒の転換から、「冷房需要を生み出さない社会」へ
世界的な気温上昇や都市化に伴い、冷房は人々の健康や生活、産業活動を守るために不可欠な社会インフラとなっています。
一方、冷房需要の拡大は、電力消費の増加だけでなく、空調設備で使用されるフロンガスの需要増加にもつながります。
2016年に採択されたモントリオール議定書のキガリ改正は、温室効果の高いHFCの段階的削減に向けた国際的な枠組みを定めました。キガリ改正から10年を迎える現在、世界の冷却政策では、HFCをより環境負荷の低い冷媒へ置き換えることに加え、機械式冷房を必要とする熱負荷そのものを削減することの重要性が高まっています。
今回のパネルディスカッションでは、放射冷却表面、高性能断熱材、ファンと空調を組み合わせたハイブリッドシステム、太陽光を利用したオフグリッド冷却など、エネルギー消費と冷媒依存を同時に削減する次世代技術が取り上げられました。
また、これらの技術を研究・実証段階から社会実装へ移行させるために必要となる建築基準、公共調達、性能評価、ファイナンス、市場形成などについて、各国政府、国際機関、研究機関、民間企業の立場から議論が行われました。
日本発の放射冷却技術を、世界の冷却政策へ
当社が開発・販売する放射冷却素材「SPACECOOL」は、太陽光からの熱の吸収を抑えると同時に、物体が持つ熱を赤外線として宇宙空間へ放出することで、電力などのエネルギーを使用せずに対象物を冷却する素材です。
建物の屋根や外壁、屋外設備、輸送機器、仮設構造物などに適用することで、空調設備に入る熱負荷や、設備内部の温度上昇を抑え、空調エネルギー、ピーク電力、CO₂排出量の削減に貢献します。
今回、末光は、放射冷却技術を研究・イノベーションの段階から社会実装へ移行させるうえでの課題について、技術性能に加え、以下の観点から提言しました。
・国際的に比較可能な性能評価方法と標準化
・建築基準や公共調達制度への組み込み
・初期投資と長期的な省エネルギー効果を適切に評価する仕組み
・高温地域を含む各国での実証と現地パートナーの形成
イベントの公式説明では、放射冷却表面をはじめとする技術が研究室から市場へ移行しつつあり、日本やイタリアなどが次世代冷却技術のイノベーション拠点として紹介されています。
当社は、日本で生まれた放射冷却技術を単なる省エネルギー素材としてではなく、世界の冷却需要と冷媒依存を根本から低減するための社会インフラとして普及させることを目指します。
代表取締役CEO兼CTO 末光コメント
世界の冷却政策は、より効率の高い空調設備や、環境負荷の低い冷媒への転換だけを考える段階から、冷房を必要とする熱負荷そのものを、どのように減らすかを考える段階へ移りつつあります。
排出量やエネルギー消費を減らす「Reduce」に加え、エネルギー消費や冷媒需要が発生すること自体を避ける「Avoid」という考え方が、今後ますます重要になると考えています。
放射冷却技術は、空調設備と競合するものではありません。建物や設備に入る熱を最初に減らすことで、空調設備をより小さく、より効率的にし、使用するエネルギーや冷媒の量を減らす技術です。
今回、モントリオール議定書に関わる各国政府や国際機関の皆さまと、放射冷却技術の社会実装に必要な政策、標準化、市場形成について議論できたことを大変光栄に思います。日本で生まれた技術を、暑さに直面する世界の人々へ届けるための一歩にしたいと考えています。
今後の展開
当社は今後、各国政府、国際機関、研究・評価機関、建築・インフラ関連企業との連携を強化し、放射冷却技術の性能評価方法の確立、国際標準化、各国での実証および建築・調達制度への導入に取り組みます。
また、建物や屋外インフラの表面に冷却機能を持たせることで、従来型空調への過度な依存を抑え、エネルギーを使用せずに暑熱課題を緩和する新たな冷却インフラの普及を目指します。
※「SPACECOOL」は登録商標です。