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SPACECOOLテントが支える、暑さに負けないアスリート環境 東京2025世界陸上の実証から見えた、身体への影響

安達 瞳(広報)

暑い日にテントの下へ入ったものの、「日差しは遮られているのに、まだ暑い」と感じたことはないでしょうか。
その理由の一つが、テント生地から伝わってくる「熱」です。

一般的なテントは、太陽光を受けるとテント生地そのものが熱くなります。直射日光を遮ることはできても、熱くなった生地からの輻射熱によって、テントの中にいる人の身体も温められてしまいます。

では、SPACECOOLを生地に使ったテントでは、身体にかかる熱の負担も小さくなるのでしょうか。
東京2025世界陸上の会場で、実証を行いました。

東京2025世界陸上の会場に設置したSPACECOOLテント

世界陸上の会場に76張のSPACECOOLテントを設置

東京2025世界陸上では、国立競技場の周辺、明治公園、代々木公園に、合計76張のSPACECOOLテントを設置しました。

SPACECOOLは、太陽光を反射するとともに、素材に伝わった熱を赤外線として宇宙へ放射する放射冷却素材です。

電気を使わず、日中の屋外でも素材の温度上昇を抑えられることが特長です。

SPACECOOLの放射冷却原理。 太陽光反射率、赤外線放射率がともに最大95%であり、従来の遮熱技術を超える冷却性能を持つ。

今回の実証では、第三者機関である奈良女子大学の吉田伸治教授の研究グループ主導のもと、東京都、世界陸上財団とともに、テント内温度やWBGTなどの環境だけでなく、実際にテント内で過ごした人の皮膚温や耳温度、快適さの感じ方まで確認しました。

 

単に「テントの中が何℃だったか」ではなく、そこで過ごした人の身体がどう反応したのかまで確かめたことが、今回の実証の大きなポイントです。

被験者の温熱生理反応を測定するための温度センサー位置

気温差以上に、身体が受ける熱が違った

実証の結果、SPACECOOLテントでは一般テントと比べて、各指標で以下の結果が確認されました。

・テント内温度:最大1.8℃低下
・グローブ温度(黒球温度):最大5.4℃低下
・MRT:最大9.4℃低下
・WBGT:約1.6ポイント改善
・深部温度(耳温度)が下降傾向
・利用者の定性評価において、「快適性」「コスト面」「将来の活用可能性」が高い評価

 

あまり聞きなれない言葉もあると思いますので、1つずつ見ていきます。

テント内温度:最大1.8℃低下

SPACECOOLテント内の温度は、一般テントと比べて最大1.8℃低くなりました。

これは、SPACECOOLの高い反射・放射性能により、テント内へ太陽光由来の熱が侵入するのを抑制したためです。

 

しかし、外部環境の温度というのは、人間が感じている温度とは異なります。

身体がどのような熱環境に置かれていたのかを確認するには、グローブ温度やMRTも重要です。さらに今回の実証では、実際に身体がどう反応したのかを、皮膚温や耳温度から確認しました。

SPACECOOLテント(左)と一般テント(右)のサーモグラフィ画像比較

グローブ温度(黒球温度):最大5.4℃低下

グローブ温度は、黒色の球体を備えた温度計で測定します。気温だけでなく、日射や周囲から受ける輻射熱も含めた暑さの指標です。つまり、人間が感じる体感温度とほぼ同等のため、体感温度を測定するために活用されます。

MRT:最大9.4℃低下

MRTは「平均放射温度」のことで、周囲の物体から身体がどれほどの輻射熱を受けているかを、温度で表したものです。

SPACECOOLテントでは、一般テントと比べてMRTが最大9.4℃低くなりました。

 

つまり、テント内の空気の温度だけでなく、テント生地を含む周囲から身体へ届く輻射熱が大幅に抑えられていたということです。

WBGT:約1.6ポイント改善

熱中症の危険度を判断する際に使われる「暑さ指数(WBGT)」も、一般テントと比べて約1.6ポイント改善しました。

WBGTは、気温だけでなく、湿度や日射、周囲から受ける輻射熱などを組み合わせて評価する指標です。

SPACECOOLテント、一般テント、テント外の暑熱空間における、各指標の測定結果

ここまで見てきたように、SPACECOOLテントでは、テント内温度だけでなく、グローブ温度、MRT、WBGTのいずれも一般テントより低い結果となりました。

つまり、テント内の空気だけでなく、そこで過ごす人が周囲から受ける熱を含めた暑熱環境全体が改善していたということです。

 

では、その環境の違いは、実際に中で過ごした人の身体にも表れたのでしょうか。

環境が変わると、身体の反応も変わった

今回の実証では、テント内の暑熱環境を測るだけでなく、そこで過ごした人の身体がどのように反応したのかも評価しました。

身体への熱負荷を捉えるうえで、重要な指標の一つが「深部体温」です。深部体温は身体内部の温度を指し、暑熱環境の中で身体にどれだけ熱が蓄積しているかを把握する手がかりになります。

 

今回は、深部体温の変化を把握する指標として、耳温度を測定しました。

 

この測定では、被験者にまず15分間、空調の効いた部屋(=静穏空間)で過ごしてもらい、続いて15分間、屋外の暑熱空間に滞在してもらいました。その後、SPACECOOLテントと一般テント内に分かれてそれぞれのテント内で20分間滞在してもらいました。

その結果、深部温度は、一般テント内では上昇傾向を示した一方、SPACECOOLテント内では下降傾向が確認されました。

この結果は、SPACECOOLテントの中では身体が周囲から受ける熱が抑えられ、身体への熱負荷が軽減された可能性を示しています。

 

テントの中で過ごす時間は、アスリートにとって、競技前の待機や準備、競技後の休憩にあたる大切な時間です。

その場所で身体が熱を受け続けるのか。それとも、身体への熱負荷を抑えられるのか。

テント生地の違いが、そこで過ごす人の身体の状態にも影響を与えることが、今回の実証から見えてきました。

「日差しを遮るテント」から、「身体を暑さから守るテント」へ

これまでテントには、主に直射日光や雨を遮る役割が求められてきました。

しかし、夏の屋外では、日差しを遮るだけでは十分とは限りません。太陽光で熱くなったテント生地自体が、新たな熱源になってしまうためです。

 

SPACECOOLテントは、日陰をつくるだけではなく、テント生地の温度上昇を抑え、身体へ伝わる輻射熱を小さくします。

今回の実証では、その結果として、MRTやWBGTなどの暑熱環境が改善し、身体の深部温度にも違いが生じる傾向が確認されました。

アスリートが競技前後の時間を、少しでも快適に、安全に過ごせる環境をつくること。

SPACECOOLテントは、そんなアスリート環境を、電気を使わずに支えることができます。

 

私たちはこれからも「涼しく感じる」という感覚だけではなく、SPACECOOLが人の身体や快適性にどのような影響を与えるのかを、実証を通じて確かめていきます。

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電気などのエネルギーでつくられる涼しさに頼りすぎずに、心地よい涼しさを実現させた新素材。
暑さから大切なものを守り、みんなが快適に、安全に過ごせる毎日を提供します。