リリース 2025.02.26 放射冷却素材「SPACECOOL」を活用した静岡県の豚舎にて 出荷日齢25日短縮の大幅な生産性改善を確認 SPACECOOL株式会社(本社:東京都港区、代表取締役CEO:末光 真大、以下「当社」)とイクナム研設株式会社(本社:愛知県豊橋市、代表取締役社長:山本 吉謙、以下「イクナム研設」)は、静岡県畜産技術研究所中小家畜研究センターの技術支援を得て、静岡県内の養豚農家が保有する豚舎の屋根に放射冷却素材「SPACECOOL」を設置し、国内外の畜産業界で大きな課題となっている「暑熱被害」の低減を評価しました。 その結果、SPACECOOLにより屋根からの熱流入を著しく抑え、肥育豚⁽*¹⁾の出荷日齢はほぼ1か月(25日)短縮し、大きな経済的効果を確認いたしました。 国内の養豚業界の実情 国産の豚肉市場は近年高騰しており、24年7月の東京市場の豚肉上物平均価格は1キロあたり800円という過去最高水準を記録。例年夏場は需要期のため高値が付く傾向にありますが、近年の夏場の猛暑影響により、肥育豚の受胎率や増体が不調で出荷頭数が減少していることが要因です。夏場の枝肉⁽*²⁾相場が良い時期に出荷頭数が減少すること、酷暑によるヒートストレスで豚の飼料摂食率が低下して出荷日齢が大幅に伸びてしまうことなど、暑熱被害は養豚の収益性が著しく低下する課題を抱えています。 ※農林水産省Webサイト統計情報より引用 https://www.maff.go.jp/j/tokei/syohi/oroshi_kakaku/tikusan.html 実証試験の概要 東海地方で養豚施設の建設工事業を営むイクナム研設と共に、静岡県内の豚舎屋根に放射冷却素材「SPACECOOL」の施工を実施。屋根からの太陽光エネルギーの入射量を低減する事で豚のヒートストレスを低減し、出荷日齢の短縮する実証試験を実施しました。 <施工方法> ・豚舎屋根全体を覆うため、SPACECOOLのターポリン生地をイクナム研設がシート状に縫製加工(図1) ・豚舎屋根の形状等を考慮し、イクナム研設がSPACECOOLシートを設置(図2) ・温度低下を避けたい天候や季節に対応するため、シートの巻き取り用ウインチを取付(図3) <温度計測の結果> ・測定期間:2024年8月 ・外気温:最高気温32.9℃、最低気温25.9℃ ・表面温度の比較:未施工部分67.1℃→施工部分33.4℃(-33℃以上の温度差を確認) 図4:SPACECOOL施工部分と未施工部分の屋根温度比較 <SPACECOOLによる豚の出荷日齢短縮> SPACECOOL施工豚舎は通常豚舎と比較して、夏期に屋根からの熱流入を大幅に低下する事で、豚の出荷日齢が25日短縮しました(図5)。 図5:SPACECOOL施工豚舎と通常豚舎の出荷成績比較(2024年8月実績) <畜産農家における経済価値> ・300 頭/月出荷頭数 × 49,000円/頭(枝肉700円/kg×70kg/頭と仮定) ×(25日/30日) = 12,250千円 SPACECOOLの利用は養豚の暑熱対策として有効で、枝肉相場が良い時期に大きな経済効果が期待出来ることを確認 豚舎への本素材の導入に関するお問い合わせはこちら イクナム研設株式会社 特機部 tel:0532-26-2881 お問い合わせページ:https://www.icnam.jp/contact/ SPACECOOLが目指す世界 本素材は、屋外のファシリティだけでなく、ヒトやその他の動植物の生産環境下に適用することで、人々の食を支える畜産農家の経営改善を初めとして、畜産業界全体の食料生産性の向上など、人類が地球上でより豊かな生活を実現することに寄与いたします。 この度、SPACECOOLを活用して養豚業における生産性の向上に大きく貢献できたことで、食に関する社会課題解決の一助となれる事にことを喜ばしく感じています。今後も日本の農業畜産業を支える裏方として、商品性能や耐久性、及び適用方法の進化に務めて参ります。 (*1) 肉用に出荷する豚のこと。 (*2) 頭部・尾・肢端・内臓を取り除いた骨付きの肉のこと。 ※SPACECOOLは登録商標です。